原付スクーター:駆動系の考察

2016年12月31日土曜日

原付

t f B! P L

今回は、スクーターの駆動系について考えてみます。


と言うことで、先ずは画像を一つ。.ライブディオAF35(1998年製・ZXじゃないよ)を元に作成してみました。


スタート時と、変速終了時の駆動系の状態を図にしてみました。

左上がスタート時のエンジン側で、右上は駆動側です。同様に左下がエンジン側で、右下は駆動側。

スタート時は最もギヤ比が低い状態で、変速終了時は最もギヤ比が高い状態となります。

速度上昇の仕組みとしては、
1.エンジン回転が上がると、遠心力でウエイトローラー(WR)が外側へ移動していきます。
2.プーリーがWRに押し出されて移動します。
3.ドライブフェイスとの隙間が狭まるため、ベルトが外側へ移動します。
4.エンジン側のベルトが外側に広がるため、駆動側のベルトが引っ張られて内側へ移動します。
5.駆動側でベルトが内側へ移動するため、ム-バブルドリブンフェイスとドリブンフェイスの間が広がります。
6.クラッチセンタースプリングが縮みます。

これが同時に起こって、エンジン回転数を上げていくと、エンジン側1回転当たりの駆動側回転数が増えていきます。結果速度が上がると言うことになります。エンジン回転数を下げていくと、この逆のことが起こり速度が下がっていきます。
変速終了後も、エンジン回転が上昇すれば、変速終了の状態で速度は更に上昇し、回転が上がらなくなったポイントで最高速度となります。

以下は、私の個人的な経験や、色んなサイトを見て学習した結果を基に書いてあります。ちなみに、私は素人なので、鵜呑みにすると痛い目にあるかもしれません(笑)。真似するときは自己責任でお願いします。


では、駆動系の調整(改造)で最高速度を上げるためにはどうしたらよいのか。(ここからはエンジン出力については考慮しないで書きます。)駆動側でベルト位置をもっと外側にすれば良いと言うことになります。その為には、ドライブフェイスとプーリーとの間隔を狭める必要があります。

駆動側でベルトをもっと外側へするときに、いくつかの制限に突き当たります。以下、制限とそ制限を緩める方策です。

1.WRがこれ以上外側に移動できない
左下図、プーリー内側のピンクの部分を削ります。これによって、プーリーをより押し出すことができます。

2.ドライブフェイスとプーリーがくっついてこれ以上間隔を狭められない
左下図のプーリーの表面側を削ります。これによって、プーリーを更にドライブフェイス側へ近づけることができます。

3.もうすでに、ベルトが左下図の赤い線まで来ている
プーリーの外径を大きなものに取り替える。これについては、他の部品と干渉する可能性があるので、慎重に検討必要があると思います。

4.ベルトが右した図の赤い線まで来ている
何かあるかもしれませんが、他の部品とのバランス調整が複雑になりそうなので、これが限界とあきらめる。

5.もっとドライブフェイスとプーリーがくっつくはずなのに、くっついていない
ウエイトローラーをもっと重たいものに変えてクラッチセンタースプリングを押し下げる。クラッチセンタースプリングをバネレートの低いものに交換。

以上で、制限を緩和できますが、何れの場合も物理的に限界はあります。やり過ぎても無駄なこともあり、またやり過ぎてしまっては、ベルトが外れてしまうような事にもなりかねませんので、少しずつやっていくのが肝要かと思います。

ついでですが、加速を上げるためには、左上図のピンクの部分を削ります。これによって、WRがより内側に来るため、プーリーも内側へと移動し、ドライブフェイスとの間隔が広がるため、ベルト位置が内側になり、よりローギアードな状態で発信することになり、加速が上がります。
ただ、この場合は、WRがあまり早く移動しないように軽いものを使う必要があります。

WRを軽くすると、WRが外側へ移動するのに時間がかかるようになります。結果として、ローギヤードな状態で加速するため、加速は速くなります。しかし、軽すぎると、駆動側でクラッチセンタースプリングを押し下げる力が足りないため、WRが完全に外側まで行ききらなくなることもあります。

WRを重くすると、WRが外側へ移動する時間が早まります。結果としてハイギヤードになるため、加速は遅くなります。十分な重さがあれば、WRが完全に外側まで移動して最高速度が出せる事になります。しかし、重すぎると、加速中がハイギヤード過ぎてかったるい加速になります。

結局、加速を極力犠牲にしないで理論上の最高速度に達するためには、各パーツの関係をしっかり理解して、微妙な調整(削りについては1mm以下の調整で、WRも数グラムの調整となります)。をしつつ試行錯誤を重ねるしかありません。

なんちゃってハイプリを前提に書きましたが、ハイスピードプーリーを取り付ければ、ある程度は調整済みとなります。ただし、バイクとの相性もありますので、ハイスピードプーリーを全面的に信頼するのはやめた方が良いかもしれません。

KN企画のハイスピードプーリーを取り付けてみましたが、スタート時のベルト位置に問題が起きるため、使っていません。長さ32mmのプーリーボスと1mm厚のワッシャーがあれば、ほぼ完璧に仕上がるのですが、プーリーボスを自分で加工するのは怖いので、自作の純正を加工した、なんちゃってハイプリを取り付けています。純正の加速感を残しつつ最高速度を上げることができるので、今のところ良い感じになっています。

KN企画ハイスピードプーリー・表面(直径は純正より1.5mm長いです。面の傾斜角度は多分純正と同じ15度?です。)
裏面(外側のWRの当たる壁は純正よりも薄くなっています。中心側の壁も純正より内側になっており、深さも純正より深くなっています。何度も書きますが、32mmのプーリーボスがあれば完璧なんですが・・・・・)






以下の写真は、純正を加工した、なんちゃってハイプリです。

裏面加工後(外周側が2.0mm位削られているはずです。内側は削るのが大変そうなので削りませんでした。)


表面加工前



表面加工後(厚みで約1mm削りました。プーリーとドライブフェイスを合わせて、隙間が大体ベルト幅になるように削ってみました。それ以上削るとベルトがはみ出します。)


ベルトがどのくらい外側まで行っているかは、今度開けてみるまでわかりませんが、駆動側で制限を受けなければ、計算上、プーリ-からベルトがはみ出すちょっと前くらいになる予定です。

※追記 確認してみたところ、プーリー表面に引いておいたマジックの線は、全部消えていました。体感で60km/hくらいまでは変速しているようでした。最高速度も若干上昇しましたが、このプーリーではここが限界でしょう。

レッツ4のプーリー裏面(こいつも加工してみました。WRも交換して、ランププレートカバーは取り外し7~8km/h位は最高速度が上がったと思います。表面は未加工です。ベルト位置がどの辺になっているかは不明。)


プーリーの加工で満足できない方は、より高性能なパーツの取付になってくると思いますが、私の技術や知識は、その域まで達していません。チャンバーくらいは交換したいと思っていますが、キャブレターの調整とかも関わるようなので、私の知識では、まだまだ先の話となりそうです。

動画紹介中→鬼太郎チャンネル






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